まだ書くのかよ…という声が聞こえてきそうだけど、自分の勉強のためにも少しまとめておこう。
例のWiFiカメラ、Linuxは入っていないとのことですが、
基板に搭載されたSPIフラッシュの中身及び、電源が入っている状態で以下のソフトウェアが動作しています。
パッケージ名 |
該当バージョン | ライセンス |
u-boot | U-Boot 2012.10 (Dec 26 2017 - 18:17:43) for GK7102 rb-sc1045-v2.0 (GOKE) | GPL |
Linux |
Linux version 3.4.43-gk (root@localhost.localdomain) (gcc version 4.6.1 (crosstool-NG 1.18.0) ) #71 PREEMPT Fri Nov 10 15:20:07 CST 2017 |
GPL |
busybox | BusyBox v1.22.1 (2018-08-20 14:07:18 CST) multi-call binary. | GPL |
p2pcamに | 以下のライブラリが静的リンクされている模様 | |
mkdosfs | mkfsdos 2.11由来のリソースが多数検出 (2.11 (12 Mar 2005)) | GPL |
Wireless-Tools | Wireless-Tools 由来のリソースが多数検出 | GPL |
Zbar | QRコード読み取りに使用 | LGPL |
そもそも、本体のプログラムとしてGPLのものを使っている場合(バイナリが当然配布されますので)、GPLに基づく著作権表記をしなければなりません。
例えば、これはe-mobileのPocketWiFiの説明書にある表示です。
最近のルータ等、ネットワークでちょっと難しいことをするような製品にはたいていLinuxをはじめとするGPLのモジュールが含まれることがほとんどです。
しかし、ドンキのWiFi見守りカメラのどこを見てもこのような表示は見当たりません。
つまり、GPLの要求する著作権表示条件を満たしていないことになります。
まぁ、Linuxが入っていないと思っているんだから仕方ないかもしれません。
その他、上の表に入っているモジュールが確認されていますので、それぞれの著作権表記と、ソースコードの公開が必要です。
p2pcamというクラウドサーバと通信するこのカメラのキモのアプリですら、GPLとLGPLの制限により同様の処置が必要です。
設定用のQRコードを読み取るっていう重要そうな処理にZBarを使っているのですが、静的リンクにしてればちょっと状況は違ったかもしれませんが、ほかにもGPLが入っているので結局駄目ですね。
以下、お詫びして訂正します。出てきたわ。
でも、ソースコード絶対出ないよ。出すわけないもん。
なんでかっていうとまぁ結構みんな指摘している通り、このカメラは中華のどっかのメーカが作っているOEM製品なわけですよ。
例えばこれ
や
https://ja.aliexpress.com/item/Wdskivi-1080-1080P-IP-WiFi-Cctv/32967060735.html
や
https://store.shopping.yahoo.co.jp/ekou/288zd-1080.html
こんなの。
見てわかるように、なんだかよくわからない販売店が売っているような製品です。
このメーカたちにコード請求しても絶対出さないよ。
国内のメーカーですら出さないところあるし。
そんな製品を、国内のあるメーカが開発元としてドンキに納品して、こうやって私のお手元に届いたわけ。
これ、ドンキみたいな販売店が手を出しちゃいけなかった製品なんだよ。
正直、ドンキには同情します。本当に知らなかったんじゃないかと。
しかしまぁ、開発元としてやってるところはこれほんとは知ってるだろ。
扱ってる商品がAndroidタブレットだったりナビだったり、OEMやってたり。
そんなわけで、セキュリティがポンコツなうえにGPL違反でアレげな製品ですが、カメラと無線LAN(RTL8188)とSDカードスロットとマイクとスピーカー(単純なADCとDACっぽくてLinuxから見えないけど)がついて、実際に使える上に3980円となかなかお値打ちな製品なんで、そういうものを自作する代わりに買う、という用途にはおすすめです。
GPL関係で何か間違ってたら教えてください。ライセンス周りは素人なので。